4月14日(金)晴れ
朝6時に目覚まし時計の音で起きたものの、外はまだ真っ暗。
こんなに暗くっちゃ、イルカ君もまだ来ないだろうと、もう一度横になる。風はまだ強い。外は風の音と、ジェネレーターの回る音で結構うるさい。M/Hの中ですらこうだから、テントキャンプの人たちは大変だろう。
このジェネレーターは、個人のキャンパーが回しているのではなく、リゾート全体の電気を賄う為に回している物だ。
コテージの数も多く、全室エアコン付きの様だから、どれ程巨大なジェネレーターなんだろう。何て考えている内に外が明るくなってきた。
2人を起こさないようにそっと外に出ると、ものすごく寒く、まだ誰も歩いていない。
散歩でもしようと歩き出すと、昨夜遅くまで酒盛りしていたサイトに鳥が集まっている。地面に落ちた食べこぼしでも食べているようだ。
一旦、M/Hに戻り、食パン2枚とVTRを持ち出した。パンは鳥にあげ、ビデオを回しながら海岸まで歩いていく。
時間は朝の6時45分頃。朝日が眩しい海岸に出ると、イルカが来るという桟橋に、既に2〜3人の人が立っている。
私の場所から桟橋まで、5分ちょっとの距離だろうか。
ゆっくり歩いていくと画面の中に一人、また一人と人数が増えていく様子が写っている。
大きいペリカンが、悠然と泳いでいる姿も映っている。
のどかだなぁと思っていたら、人が慌てて海に入って行くではないか。
もしかして?目を凝らしてみると、背ビレが海面に出ている。イルカだ。私も慌てて膝まで海に入り、無事ご対面できた。
この時のイルカ君は、様子見に来ただけみたいで、すぐ沖に帰ってしまった。
それから待つこと小1時間。宮ちゃん、とりちゃんもビーチに出てきた。係りの人も現れて、いよいよ、イルカの集まってくる時間のようだ。

来た、来た、全部で5頭。さっきより、ずっと近寄ってきている。係の方が説明しているが、勿論、英語なので全部は理解できない。
イルカ達の名前と年令、フラッシュはたかない事、人間から近づくな、頭や尾ビレに触れてはいけない、海面を叩くな等言っていたんだと思う。(多分もっと多かった)
1頭のイルカがすぐ傍まで近づいてきた。背中に大きな傷がある。鮫に噛まれた跡だと説明してくれた。
「命に別状がなくてよかったね。もう、すっかり元気みたい。」その子は海面から顔を出して、小さくキキッと鳴いてくれた。
可愛い!すごく可愛い!でも、可愛いけどカンガルーに対して感じた気持ちと、どこかちょっと違うぞ。
何というか、嬉しいのに、ちょっと切ないような、何年も逢えなかった友人や兄弟に、やっと逢えたような気持ちだ。今、目の前にいるイルカとは、今日初めて逢ったはずなのに。
ドルフィンセラピーって聞いたことあるけど、こういう事なのかな?周りの人を見回して見ると、みんな笑顔だ。皆、一心にイルカを見つめている。
同じほ乳類で、イルカは海に残り、人間は陸に上がった。ひょっとして、遠い遠い昔、今と姿形は違っていたとしても、このイルカ君と私は、同じ海を仲良く漂っていたのかも知れない。
本気でそんな事を考えてしまう程、懐かしいね、やっと逢えたねって思えてしまう。ほんの1時間程度の体験だけど、水族館のイルカと違う(それですらメチャ可愛いが)感動があります。
ドルフィンリゾートに泊まったら、是非、早起きしてください。ちなみに1日に3回イルカは海岸にやって来て、各1時間位、人間と遊んでくれるそうですが、年に数日はイルカの来ない日もあるそうです。 野生なので100%逢える保証は無し、これもまた良し。しかし、10時迄に出ないといけないので、イルカと遊んだ後はちょっと慌ただしいかも。時間に余裕のある方なら、2泊も良いかもね。

私達は、ストロマトライトという名の、太古の昔から生きている岩を見に、ハメルンプールに向かった。
岩が生きているって変だけど、今でも年に0.3_ずつ成長していて、酸素を作り出す岩だそうだ。植物がまだなかった時代に、地球上の酸素は全てこの岩が作っていた。
そんな岩がなせハメルンプールに今も沢山残っているかというと、海水の塩分濃度が通常の2倍あるために、天敵となる貝やゴカイが生息できないせいだ、とガイドブックに書いてあった。
そう、生命の源と呼ぶべきありがたい岩なのだ。しかし、見た目はただの岩。
自然保護のために、木で組んだテラスの上を歩いて、ストロマトライトを見られる様になっているんだけど、とことんただの岩。酸素を作ってくれてありがとう、と感謝はすれど、見て楽しい物でもない。

それより、ブンブン顔の回りを飛び回るハエが気になって、見物どころじゃない。オーストラリアのハエはとてもしつこい。ただ止まるだけなら我慢も出来るけど、ヤツらは目、鼻、口、耳と手足に傷があればその傷口に、要するに水分のあるところを目がけて突進してくるのだ。
払っても払っても、無数のハエが集ってくる。折角の美味しい空気だからって、深呼吸でもしようものなら鼻の穴にスッポと入ってくる。
大口を開けて笑ってもいけない。サングラスをしていても、わずかな隙間から眼球めがけて入ってくる。
耳に直接入りでもしたら、あの羽音で飛び上がるほど驚いてしまう。おまけに、強い風にも負けないと来ているからどうしようもない。
ウエーブロックに行った時も、体に付いてきたハエが、傍若無人にM/Hの中を飛び回り、ハエ退治が大変だった。
スーパーでハエ叩きを見つけて、購入してからは大分楽になったけど、どこかに立ち寄るたび(GSでも)2〜3匹のハエが車内に入り、その度にハエ叩きの登場となるわけです。
お陰でトロい私でも、大体一撃でやっつけられる様になったけど。オーストラリアでキャンプするなら、ハエ叩きは必需品です。
スーパーで見つけたら必ず買いましょう。1$でお釣りがが来る値段ですから、無駄になってもそんなに惜しくない。むしろ、無駄になるくらいハエがいなかったら、あなたは超ラッキー!あんまり、ハエの存在に頭に来ていたから話が逸れてしまった。


今日の宿は、やはり国立公園の中にある、カルバリーという街。
釣り好きのオージーが集まる、オージーのためのリゾート地で、時間の流れが違うように感じる街だそうだ。が、残念ながら早起きがたたって眠ってしまった。
気が付いたら、カルバリーに到着しており、スーパーマーケットの前にいました、反省。
来る途中の国立公園の中で、危うくエミューを轢きそうになくらいの接近遭遇があったらしいのだが...。


街並みもろくに見ずに、急いで買い物をしてキャラバンパークに入った。
テント、トレーラー、自製か?と思われるキャンパー、皆、思い思いに過ごしている。
車内から何気なく隣のテントの中を覗くと、家電の結構大きい冷蔵庫から、タンスらしき物まで入れている。
2LDKのマンションみたいだが、周りにはもっと大きい、3LDK位のテントもある。その前にはルーフエアコンから太いパイプを車内に引き入れた、明らかに自製キャンパーがいて、ここの家は子沢山だ。
小さい子供がゾロゾロ、全員、車の外でビーチサンダルを脱ぎ、中に入っていった。パーク内と言えば、さすがに釣りで有名な街、いずれも戸外だけど、魚用の洗い場と食器用の洗い場が分かれている。洗い場は熱いお湯が出て快適だった。
シャワー、トイレルームの天井には、模様かと思うほど、蛾がびっしりと止まっていたが、シャワーの勢いも良く、虫もとまっているだけで飛んでこなかったので快適だった。
早寝の人も、宵っ張りもいて、自分流に休日を楽しんでいるのが伝わってくる。
行き交う人も、皆「Hi」と挨拶してくれるし、昨日のドルフィンリゾートでは感じられなかった、オージーらしい陽気さと呑気さが、このキャラバンパークにはある。
有名な観光地も良いけど、ここはとってもオーストラリアらしくて、気楽で、この夜は昼寝したにもかかわらず、爆睡した。




走行距離と経由地  Monkey Mia 〜 Overlander Roadhouse 〜 Kalbarri  418q
宿泊場所       Kalbarri Porter St  Kalbarri Yudor Caravan Park ★★★☆
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