4月15日(土)晴れ
今回のキャンプも終わりに近づいた。
移動の多い、駆け足の旅だから、3人とも大分疲れが出てきたように思う。
今日はゆっくりとスタートし、出発地のパースに出来るだけ近づくべく、移動することになっている。
疲れた時にはこれ、とばかりに今朝はお粥。生のお米をゆっくりと炊きあげた、本格的なお粥で体を温めてから、さあ、出発。お昼頃にはジェラルトンに着くように走ろう。
そうジェラルトン、美味しいシーフードレストランと何より、カンガルーのキャラバンパークのある街だ。
昨日、「頑張って走れば、もう1度あのキャラバンパークに泊まれるけど、どうする?」と2人が私に気遣ってくれたが、今回は出来るだけ、色々なところにを見ることも目的の一つだから、カルバリーを選んだ。
M/Hは来た道を戻り、南へ、南へと走る。途中、ハイウェイからカンガルーのキャラバンパークが見えた。
たった3日前に来た所なのに、随分時間がたったように思う。
「皆さん元気でね、必ずまた来ます。」と手を振って、アッという間に通り過ぎてしまった。11q走るとジェラルトン市街だ。この前来たときは夜だったので良く分からなかったけど、鉄道の駅もある立派な街だ。
生活水準も高いのだろうな。ヨットハーバーや、大きなスーパーもある。
街並みも美しく、家々も大きくて、庭には色とりどりの花が咲き乱れている。
お目当てのレストランは土曜日だったため、残念ながらランチはお休みだったので、Takeaway専門店で本日のスペシャルを購入。魚のグリルが2切れと3種類のサラダ、ビーツのピクルスに山盛りのチップス(フライドポテト)で8.5$、とても食べ切れない。昼食後、急いで出発する。繁華街を抜けると、すぐに住宅街だ。
本当にうっとりする程、どの家も、庭も綺麗。大きな教会もある。坂を昇りきると、家々の屋根越しに青い海が見えた。

また眠ってしまったらしく、目が覚めたときは、今、どこを走っているのか分からない。
大体ハイウェイを走っていると、何処も似た景色のため、ドライバーは眠気との戦いだろうな。(私は後ろの席で、呑気に寝ていてすみません。)
体を低くして、フロントガラス越しに前を見ていると、道端にカンガルーが横たわっている。
今日は午前中から2匹目。それも、昨夜か今朝にかけて轢かれたらしい、生々しい姿。昔、おばあちゃんに、動物が死んだら今度は人間に生まれておいでと、お祈りするように教えられた。
悲しい場面に出会うたび、教えられたように祈ってきたけど、人間もそんなに楽な時代じゃないから、それで良いのかなと思うようになってきた。人間の発明した車によって亡くなったカンガルーに申し訳ないなとも。車はハイウェイを左折し、小さなGSで給油した・・・。


どうもこの裏がキャラバンパークらしいんだけど、何だか今までと、様子が違うぞ。
そーと近づいて中を見てみると、単なる広場みたいで、トレーラー1台停まっていない。寂しすぎる、と言うことで別のキャラバンパークに行くことにした。
ハイウェイには戻らず、海沿いから反対の方向に走って行くと、左右は広い牧場だ。
と、突然の急ブレーキ!カンガルーが飛び出してきたのだ。
大丈夫、ブレーキが間に合って轢いていない。人騒がせなカンガルーは、きょとんとした顔でこっちを見ている。「何かあったの?」とでも言っているようだ。
胸をなで下ろしている私達のことは気にも掛けず、ピヨンピヨン跳ねて、ブッシュの中に入ってしまった。
よく見ると、全部で2匹いる。ワイナリーのオーナー夫人がカンガルーは2匹出ると言っていたことを思い出した。
夫婦か親子か、わからないけど、仲良く何事も無かったかのように消えてしまった。
とにかく、轢かなくて良かった。(今日のドライバーのとりちゃんは8年前に、オーストラリア一週孤独の一人旅をした時の経験から、時間と道の具合から出そうだなと警戒していたらしい)加害者になりたくなかったら、夕方以降のドライブを避けるか、警戒しながら走るしかないみたいだ。
気を取り直して走り出すと、5分もしない内にメチャメチャになったカンガルーの死体が、道の真ん中に転がっていた。
さっきの可愛いカンガルー、あんな姿にしてしまわないで本当に良かった。もちろん、結構大きな動物だから、こっちも無傷ではいられないだろうけど。
この国の車に付いているカンガルーバンパーは、4WDのアクセサリーではなく本当に必需品なんだ。


本日停まるキャラバンパークは、何と街の真ん中にあった。それ程大きな街ではないけどキャンプ場内から、通りやお店が見える。
サイトも、この旅お初のアスファルトで、芝生が所々に植えてあり、花壇には薔薇の花。都会のキャンプ場だ。
通常、トイレやランドリーはチェックインの時に渡された専用の鍵で開けるのだが、(鍵の付いていないキャラバンパークもある)ここはIDナンバーを入力すると解錠され、ドアを開けると自動的に換気扇が回りだす。
1泊15$、ランドリーは無料だし、申し訳ないくらい。日本のキャンプ場は、やはり割高感がある。土地や公共料金が高いこと、宿泊客が週末や連休に集中してしまい、平日はガラガラという状況も、料金を高くしている理由の一つだと思う。
オーストラリアのキャラバンパークは、平日でもけっこう人がいる。多分、長い間此処に住んでいるんだろうなと、思われる人が、必ずと言って良いほど居る。
ただでさえ安い宿泊費は、1週間、2週間、1ヶ月と長くなるほど割安になっていく。これはカナダ、アメリカでも同じだ。

リタイヤしてからもう何年(何十年?)もたっているだろうと思われる、お年寄り達も気軽にトレーラーを引っ張って旅を続け、気に入ったキャラバンパークを見つけたら、何ヶ月も滞在するって事も多いのだろう。
実際キャンプ場はお年寄りが多く、皆さん、悠然としていらっしゃるし、羨ましい環境だ。
年をとってからも、健康であれば自由気ままに暮らせる国。もちろん、若い頃からキャンプに親しんで来たんだろうけど、「もう年だから」何て、絶対自分から言わないんでしょうね、こういう方々は。見習いましょう。
キャンプ場も、長期滞在の方が居るから経営も成り立つのかもね。
それと、古いトレーラーが目に付く。愛着を持って、あっちこっち自分で修理して使っているんでしょう。
車も古いのが沢山走ってますよ。昨日は私が高校生くらいの頃、流行ったギャランが走っていてビックリした。
何日か前、GSで出会った親子は、運転席側のドアが開かないらしく、2人とも助手席から出入りしていた。何に使うのか想像がつくけど、中古らしい車のマフラーを後部座席に積み込んで、すました顔で立ち去っていったっけ。
人は人、私は私、オージー達の考え方って良いと思いませんか? 今の日本ではまだ無理かも知れないけど、自己中心ではない、思いやりと責任の伴った個人主義が定着すれば、日本ももっと住みやすくなるのに。
小さな島国から来た日本人の私は、日に日にオージー達を羨ましく思ってしまうのです。


走行距離と経由地  Kalbarri〜 Geraldton 〜 Badgingarra 〜 Moora  453q 
宿泊場所      Moora Dandaragan St.  Moora Caravan Park  ★★☆
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